*ドナとジョーの薔薇の園*/知風
 
肢体に
ジョーはかつてなき飢えを覚えた

ジョーの清き体の内で
森の精気が渦を巻く

血と汗の匂いのからまりの中
ふたりは一匹の獣になった


同じの月の下
眠れぬドナは庭に出た

突如一陣の風が巻き起こり
薔薇の花びらを全てさらった

そしてその蔓の先には
ふくらみゆく薔薇の実

すべての実がいっせいに
あじけて種を飛ばしたその時


はるか遠くの森の底
メァリメァリの隣で眠るジョー

その首の薔薇の蔓の輪が
ジョーの首を締め上げた

そしてドナの首にもまた
誓いの輪が食い込んだ

居眠りしてた神さまが目覚めた
その時にはとうに手
[次のページ]
戻る   Point(3)