*貞女カーラの裁判*/知風
 
指導者殺しの裁判の争点は
今や罪ならぬ白か黒か

女の性と男の業か
それとも狂える心の罪か


指導者パートリィは
英雄になりそこねた男だった

二千の騎馬警官の指揮を執り
革命を成功させた功労者

けれど偉大なる革命家の名は
彼の前任者「きちがい巡査」のもの

けれど彼を殺したのは失望ではない
ひとりのきゃしゃな腕の尼


貞女カーラは迫害された
革命以前の教えを守る者

石を拝ませる時代遅れな神様に
純潔の誓いを立てた十二の頃より

石灰岩のごとく真っ白な想いに
その身を供した二十二の娘

身清き彼女の祈りの石鎚が
指導者の左耳に最期
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