サトリのことは考えちゃいけない/佐々宝砂
 
」ほっとした僕はふと、自分が枯れ葉模様のフレアスカートを履いてることに気づく、なんだこりゃ。僕は確かに細っこいが男だぞ。女じゃない。なんでこんな格好してるんだ。「すみません、ズボンありますか」「ありますよ、あげましょ、奥の部屋にいらっしゃい。このこは大丈夫でしょう」おばあさんに誘われて僕は隣の部屋へ。

窓がある。窓のそばに向かい合ったソファ。ソファに座っている男が3人、立って煙草を吸っている男が一人。どの男も、ただものじゃない雰囲気を匂わせている。空気がピリピリする。いっせいに僕に向けられる、八つのレモン色の目。考えちゃいけない。考えちゃいけない。どうしよう。やばい。

ホームレスのよう
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