■批評祭参加作品■七〇年代詩の均質性/岡部淳太郎
質化の波から逃れえていないように思える。常に詩壇よりも世間を意識し、彼等のような難解な詩を書く詩人たちを「IQ高官」と呼んで糾弾した荒川だが、彼のここ十年ほどの仕事には同様の均質性(金太郎飴のような、と言った方が早いか)が蔽うべくもなく表われている。
お尻にさわる
いい言葉だ
日本が残すことのできる言葉は
これくらい
しか
ないだろう
というところに来た
それは言葉がすべてあまさず
そこにあるもの見えるものだけにくっつく
よろこびを知りそこに憩ってしまったからだ
(荒川洋治「渡世」詩集『渡世』)
このような詩行で言語均質化の波を皮肉っているのかも
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