かまいたちを一匹。/吉田ぐんじょう
どうやら先日から
天井裏に
ねずみよりも大きくて
鳥よりも小さい何かの動物が住みついたらしい
夜になるとばたばたと走り回って
うるさいことこの上ない
ただ不思議なのは
わたしの真上で必ず一度は
ぴたりと止まる事である
天井の隙間からじっと
わたしを見ているのだろうか
負けずに見返してみる
木目がだんだん眼のように見えてくる
・
三日も経つとばたばたは治まった
代わりに静かな足音が
てち、てち、とゆっくり響いてくる
それでもやはりわたしの真上で
ぴたりと止まるのは相変わらずで
何の欲求を感じているのか知らないが
お前にしてやれることなど何もないよ
毎
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