*ミリィの風車小屋**/知風
 

くすねたチーズとたまねぎを
かじりかじりの小さな旅

楽しかったのは海が見えた時まで
ぼくらは思わず黙り込んだ


まるで夢に出てきた通りの
くもの巣だらけの風車小屋


風もないのに陸に向けて
悲鳴をあげて回り続ける

壊れた戸口や椅子の破片を
踏み越えた先の部屋の人影

おそるおそる覗き込むと
曲がった背中にフードの頭

唱えるようにぶつぶつと
大きなクランクを回す


それは突然天を仰ぐと
恐ろしい大声で叫んだ


  あたしはこの手で!
  
  あたしのこの手で!

  あの子を殺した!


  あの、あの竜を!

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