*ミリィの風車小屋**/知風
くすねたチーズとたまねぎを
かじりかじりの小さな旅
楽しかったのは海が見えた時まで
ぼくらは思わず黙り込んだ
まるで夢に出てきた通りの
くもの巣だらけの風車小屋
風もないのに陸に向けて
悲鳴をあげて回り続ける
壊れた戸口や椅子の破片を
踏み越えた先の部屋の人影
おそるおそる覗き込むと
曲がった背中にフードの頭
唱えるようにぶつぶつと
大きなクランクを回す
それは突然天を仰ぐと
恐ろしい大声で叫んだ
あたしはこの手で!
あたしのこの手で!
あの子を殺した!
あの、あの竜を!
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)