*ミリィの風車小屋**/知風
あたしは!
あらゆるゴミをなぎ倒して
逃げだしたともだちと
あまりのことに腰を抜かして
動けなかった弱虫のぼく
だけどぼくは本当に見たのだ
フードの脱げたその顔
振り向いたそれは醜い老婆
白い髪をふり乱したその下の
鋭く光る金の瞳と
トカゲのような鱗の肌を
+++
あれからぼくらは二度と
あの風車小屋には行かなかった
今この時も哀しみのミリィは
風車を回し続けているのだろう
いつの日か体が全て鱗に覆われ
竜へと変えられてしまうその日まで
ミリィの風車小屋の
哀しい唄はきっと止まない
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