*ミリィの風車小屋**/知風
 
風の精を堕落させたミリィ

   その罰として神様から
   永遠の風車番をさせられてるのさ


それから眠れぬ夜のたび
遠い闇の向こう向こうから

女の歯軋りみたいな音が
聞こえる気がしたものだ


++


それはぼくがロバをもう
ひとりで乗れるようになった夏

村の学校に入るため
山を降りておじさんのうちへ

豚を飼ってる先生に
ちっさいおっきい生徒たち

友達のひとりが教えてくれたのは
あの呪われた女の風車の在り処


先生が豚のお産でお休みの日
ぼくらは家を抜け出した

向かうは山のてっぺんの
裏の森の奥のその先


[次のページ]
戻る   Point(4)