カントリ姫/辻野克己
 
ゃないんだ。
 なんて、よくわからないことをかんがえて、またいきをつきそうになる。
 ゆっくり、しずかに、ひざをつき、ひだりのてのひらに「ぽた」をうつす。
 あとで、みぎのてにはもんくをいわれそうだ。
 ずいぶん、かるい。じどうはんばいきの、とりだしぐち。
 ずいぶん、ぬくい。ひだりのてのひら。
 
 めがあう。
 
「じゃあな、は、とりけし」
 
 めがぱちぱち。
 
「またな」
 
「いむ」
 
「かんとり」
 なんとなくいった。
 
「かんとり」
 うん、ってふつうにうなずいた。

「はんはん」
 てをとりだしぐちにいれた。

「はんはん」
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