カントリ姫/辻野克己
 
ん」
 みえなくなった。

「すうすう」
 なんとなく、あってるきがした。

「すう」
 
 ひだりのてのひらが、
 きゅうって、つめたくなり、そして、おもくなった。

 ぼくは、しばらくてをなかにいれていた。

 すずめがないていた。
 てをにぎった。
 めをつむった。

 そのままひだりてをポケットにいれた。

 めをあけると、
 たちあがり、あるきだした。

 きれいなあさだった。

 ながくあるくには、わるくないあさだった。
 

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