嘘/アンテ
 

                        15 嘘 (終)

結局
あたしとまゆこさんがいた場所は
なんだったのだろう
夢ではなかった
ことだけは
確かだ

ただいま
鍵は穴のなかにしっかりと収まって
かちっ
と確かに音をたてた
靴をそろえてあがり
廊下をたどり
リビングを覗き見る
記憶のままのソファ
が窓ぎわにあって
髪の黒い女性
が膝に手をそえて座っている
振り返ると
成美さんが手をひらひら振った
湿った匂いも
艶を失ったテーブルも
まるで同じで
自然に足を踏み出せた
ほらぁ
まゆこさんまた閉じこもってる
カーテンを開けると

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