絵/アンテ
14 絵
なぜ
観覧車が少女のために
あれほど傷つき
苦しむのか
わからなかった
今でも
本当に理解できている自信
はない
それでも
観覧車が少女を死なせることなく
地上へ送りとどけた覚悟
くらいは
あたしにだってわかる
一人で歩けるようになるまで
五日かかった
お医者さんに叱られるまでもなく
退院までの道は険しい
それでも
全身の力を放棄した代償
くらいは
あたしが嘘で台無しにした人間関係
の無惨な姿には遠くおよばない
親は逢いにすら来てくれないし
連絡を取る知り合いも
一人もいない
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