取るに足らない嘘のこと/はるな
そして、見知ったような街で生活している。
すべての箱を開けて、埃を拭い、それなりの場所に配置して、箱を潰しきるのには5日あれば十分だった。そのあとは右のものを左に動かしたり、左のものを上へ持ちあげたりしながら暮している。
そんなふうにぼんやり暮らしているわたしはともかく、新しい校舎、新しい教科書と、新しい机、そんな新しいようなものばっかりの場所に娘は週に五回も通っているのだ。
毎朝集団登校の列に混じって通学路をついていく。最初の半月は校門の前で手をふって別れた。それからだんだんその手前で別れるようになり、(道の曲がってるところまで来てくれない?)(先生が立ってる交差点のところにする)
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