残された怠惰/岡部淳太郎
この九月に母が亡くなった。二〇〇四年に妹が自死し、二〇一一年に父が病死しているので、五〇年以上ずっと独身のままの僕は、これで家族をすべて失って本格的に一人になったことになる。母は妹が亡くなった直後から体調を崩し、血液透析を受けて過ごしてきた。その後も大腸癌の発見と摘出があって、病気との戦いだった。十年以上に及ぶ透析の影響で腰を悪くし、まともに歩けなくなったために長期入院をしていた。そんな中で今年(二〇二一年)の夏に新たに乳癌が見つかり、それもかなり進行していたということで、最後はかなりあっけなく亡くなった。父の時と同じように、長年の闘病があってこちらもある程度心の準備のようなものが出来ていたため
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