季節の中のシルエット/番田 
 

生きていることだけが感覚を埋めていくような気がする音楽のように、今は聞こえていた。そして、電車の過ぎていく光景と、駐車場から姿を消した車の形態のそこに存在していたシルエットを目を凝らすことで、見ていた。姿を消したCDショップの姿の、きらびやかな内装を思い出すようにして。そうではないのかもしれない、思い出すことによっては得られないものを、現実世界で演じることで確かにしていくことが必要なように思えた。あそこの子供の頃とまるで同じ、思うことに憧れるだけで、行動に移せないだけの、部屋の光景の色や形を思い出させられてしまっている、可愛そうな死体なのである。


木々は今は存在している、まだ、今はそ
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