博士の結論/道草次郎
 
博士は一つの結論に達した。
過去に行くのはどうやら原理的に不可能らしい。なぜなら、「行く」ところは常に未来にしか「ない」からだ。

例えば古代の地球、三畳紀あたりでもいい。そこへ「行く」ということは、それがどれ程の過去であったとしても、「行く」のだから未来なのだ。だから未来にしか「行くことができない」のだ。どうもこれは覆せない真理らしい。

ならばと博士は思った。ではとびきり壮大な建設力を駆使して古代の地球をすっかり再現し、そこへ「行けば」いいのではないか。それはタイムトラベルとは言えないが、タイムトラベルと全く同一の体験が可能なはずだ。

博士はすぐさま事業に取り掛かった。とてつも
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