ピーナッツバタートースト/ホロウ・シカエルボク
ちょっと焦げたピーナッツバターが乗ったトーストとカフェオレの為ならなんだって出来る、とマリはいつもふんぞり返って話してた。「あたしにとって人生で大事なものはそれだけなのよ」って。実際、一日に二回(朝は寝ていたから二回)の食事がそれだけという日も週に何度もあった。どれだけ捻っても雨漏りぐらいのお湯しか出てこないようなシャワーしかついてない、トイレの水は流すたびに便器の根元から水漏れする、キッチンのガスコンロは油断するとすぐ消えている、窓はもともとそういう模様だったのかと思えるくらいにまんべんなくひび割れていて、ソファーは虎が爪とぎに散々使ったあとみたいに破れまくって、元の布地は何色だったのかなんて
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