散文三つばかり/道草次郎
「いくつかメモ」
誤解を恐れず端的に言うとバランスが欲しい。換言すれば、あれもこれも欲しい。低い水位で流れるのでいい。こういうことを言うのはバランスを欠く要素だからと、すぐに排除することに飛びつかず、こういうことを言うことも低い流れの一部としたい。詩を書くことに誠実であるとはこういうことかと、ふと思ったりする。
つまりなるべく言葉の練度をきわめ、なまくらの批判を次々と繰り出さないこと。ここまでは、詩人の取りうるよくある態度。贅言をなるべくしない。抑制の面持ち、これもよいだろう。
しかし、自分は誘惑を断ち切れない。もっとも美しいものは、俗なるものの収斂のうちに存するという信仰に永ら
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