千億の花火/済谷川蛍
和洋折衷、さらにはカジュアルな個々の色彩が一つの流れとなって目的地である広場へと延々続く。両岸にはイカ焼きやタコ焼き、りんご飴やチョコバナナ、お面にくじ引き金魚すくいなど、食欲と郷愁を誘う魅惑の露天が処狭しと立ち並び、人の流れを惑わせる。
さて会場は歩行スペース以外には全てビニールシートが広げられ、そこに家族連れや友人や会社の同僚などの集団が夕空の下どっかり座り、露天で買ったビールやら焼きそばを食いながら、がやがやと期待の物音を立てている。今更ながら到着した見物人は、広場を囲う芝生の生えた斜面に座るしかないのだが、そこもほぼ満席の状態で、しかたなく広場の歩行スペースを狭めるしかない。そしてほ
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