8月27日 付箋/道草次郎
すごく悪いことをしている気がしてならない。一日中ずっと抽象的な考え事をしていた。もうだいぶ以前から気付いているが、自分は抽象的な考えに集中すると罪悪感を感じてしまう。具体的な何かや事務的な何かに集中できている時には感じない不穏な焦燥感もそれに伴う。この感覚こそが、自然がみずからの元へ自分を引き戻そうとする感覚であると長いあいだ思ってきたが、果たして本当にそうだろうか。物事をそうやって推し量るのは、柔軟なものの見方を損なわせてはいないか。考え方の癖というのが存在して、その癖ゆえに自らの思考を一つの範型に収めていないと何故言い切れるのか。
立ち昇ってきた一つの感情を捕らえ、辛抱強くそれを
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