午睡/墨晶
 
                    掌篇 
 
 わたしが「ソボ」と呼んでいたそのひとは、天気の良い日は大概、オクザシキのエンガワで、かたわらの茶托に乗った蓋付きの茶碗、膝の上の白猫とともに、うつむいて、座布団に座っていた。
 ある時、マサキ君の家の庭で遊んでいたところ、今し方オクザシキのエンガワにいたソボがマサキ君の家のフトンベヤの窓辺に座っていた。膝の上の猫は三毛猫だった。
「 あ ソボがいるわ 」とわたしが云うと、
「 ソボ? ちがうよ ウチのオバアチャンだよ 」とマサキ君は云った。マサキ君の口調の何か抗議しているような雰囲気に気付き、そのときわたしは反論しなかった。
 以上
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