老いたペンギンのメモ/由比良 倖
 
僕はここに生きている。全てが可能になる領域。

とても長い時間をかけて鬱が良くなったり悪くなったりした。五ヶ月前に何か変わった。ピストルにセーフティがかかるみたいに。二ヶ月前にも何か変わった。そのままピストルをベランダから放り投げたみたいに。外に向けるための照準も、自分の頭を撃ち抜くための弾丸も、もう要らない。たとえ誰かに殺されるとしても、死に顔があまりシリアスなのは嫌だ。笑って死にたいからヘッドホンはいつも抱えて歩く。あんまり外は見たくない。全てが僕を去っていくから。眼が悪いけど、眼鏡はかけない。

今月(2019年の10月)に入ってからも、何かが変わった。自分の家に幸せの鳥がいることく
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