詩の中の『私』/腰国改修
 
"私は泣いたことがない"。いや、ある。この"私が泣いたことがない"と言ってるのは、ご存知井上陽水作詞・作曲の『飾りじゃないのよ涙は』の歌詞の中に登場する主人公の私である。

この歌詞、最初から読んでいくと途中まで主人公の性別は分からない。いやいや、分かるでしょうという方は、先に『飾りじゃないのよ涙は』の「〜じゃないのよ」という言い回しから女性だと決めて、この歌詞に接しているからではないか?投げキッス。女性特有のものではない。であれば、「投げキッス受け止めたり投げ返したり」するのは男性であってもおかしくない。それでも、まあ、大抵はこの歌詞の主人公は『女性』
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