みてもいいしみなくてもいいのこと/はるな
 

世界は暑くなりすぎだね。っていうあなたの涼やかさ。シャツのなかに風を飼ってるみたいで良い。
そうだねってわたしは言うけど汗でべたべたになった手がすべってつかまってられない。わたしは季節をすべりおちる。

そうして歯車は六回まわった。百年みたいな6度目に、わたしは風のつよい街で生きている。性懲りもなく恋をしたり、なにかを失ったりしながら歩いている。
アガパンサス、うす紫の花。みどりのあじさい、人気者のどうだんつつじ、辛抱づよいカーネーション。「夏は花がもたないわねえ」ってぶつぶつ言いながら週に2回花を買っていく婦人。冷蔵庫の奥のほうにしまっていてもこらえきれずに開いてしまう百合の花粉をと
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