モラトリアム・オルタネイト/由比良 倖
 

死にたい。本当は一行だって書きたくない。空っぽの部屋に行きたい。どうなりたいかどうなりたいかどうなりたくないか。パソコンをしばらく脇に置いておくべきだ。もう、必要を感じないし、今までだって、必要としたことなんて無かった。何も変わっちゃいない。書き終わったら(一体いつになったら書き終えることが出来るのか分からないけど)、パソコンをたたんで、それから……、それから、あるだけ、手にはいるだけのお酒を飲みます。そうすることが必要なんです。今の自分を無邪気に否定できたらいい、のに。コーヒーを、吐き気がするまで飲んで、欠落を持病として完全性を志向したい。何もかも捨ててしまえ。捨ててしまうんだ。


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