モラトリアム・オルタネイト/由比良 倖
 


不安と同居した覚えはないのにな。壊してしまった絆、世界との仮定的な、は破片となって、ちくちくと内臓に刺さる。あなたしかいないという戯れ言は受け付けない。プラスチックで出来た錠剤を飲む。明るくなれるはずの場所はひどく揺れている。なんだかいろんなものを蹴りたくなる。ただ私は完璧な私になりたいだけ。訳もなく煙草を吹かす。病院に行って「今日は、いえこの頃はあんまり死にたくなくなったんです」と言ったら、「なにか理由として思い当たることはありますか」と聞かれて、そんなの言われても分かるわけ無いので苦しまぎれに「多分、季節のせいじゃないかと思うんですけど」と答えた。「この頃晴れてますからねえ」と便宜的に
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