ことしの夏は のこと/はるな
 

夏はなんだかすごくさびしかった。これまではそんなことはないのに。さびしくなるのは冬か秋か春と相場が決まっている。
いろんなものが取れかけているわたしは、また色々のことを思い出す。思い出したり、考えたりする。日々の、たとえば玉葱を買い卵を買い食器用洗剤を買い柔軟剤を買い、かぶとむしたちのゼリーを買い靴クリームを買い柚子こしょうを買いおむつを買いヘアピンを買い花の栄養剤を買う、それぞれの品物を選ぶその一瞬ごとに、ちがった、ふるい、以前あった出来ごとを思い出す(あるいは考える、それは過去であったりなかったりする)。
坂道を上って下り、もうひとつ上り、それも下ると駅に出る、ICカードにチャージし改
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