忘れたことが多すぎるけど少し/竜門勇気
詩を書き始めたのは高校生の頃。
現代詩集という投稿サイトに狂ったように詩を書き続けた。
ドコモのimodeのせいで人生も狂った。
不満だけは人よりあった。未来はそれほどじゃなかった。
一攫千金を考えた。それが身の丈に合わないことがすぐ分かった。
鏡を見るように自分の醜さが見えていた。水晶のように透き通った自分が見えた。
生きていることは、間近の水面を見る溺死だと思った。
手を伸ばすとボチャボチャと無残な音が聞こえた。
水中の暮らしは数分の希望をたぐり寄せる無謀と知った。
視界の端に映る人々が息継ぎをする。上手に見える。
口の中にめいいっぱい空気を含んで嫉妬がうまくなった。
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