紙折る手/あおい満月
 
 最近になるまで気がつかなかったことであるが、わたしは仕事でよく手を使う。いや、手が仕事だと言っても過言ではないくらいに。べつに美容師やエステティシャンやマッサージ師ではない。某公共料金の申込書の封入や折り込みである。 金融機関の案内書を三つ折りにする。しかも一日、多いときで300枚以上。折り紙大会である。折り紙。端と端をきっちり合わせて、案内の文書が上にくるように出来るだけきれいに折る。時折ずれる。階段を踏み外したみたいに。それでも後戻りはせずにセットしていく。
 幼少の頃、折り紙は大の苦手で、お財布ぐらいしか折ることが出来なかった。成人してやっと鶴や紙ヒコーキが折れるようになったのだ。一時
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