「正論」とかけてポルノととく、そのこころは?/動坂昇
 
 最近「正論」という言葉は、本来の定義から離れて、次のような意味で用いられるようになってきた。
 すなわち「道徳的観点から言ってはいけないとされてきたから自分は言うのを我慢してきたが、本当はずっと言いたかったこと」または「誰か言ってくれないかと思っていたこと」だ。
 この用法は、とくに政治、経済、歴史の話題のなかでも戦争、犯罪、貧困、差別に関してみられる。
 しかし道徳的正義に反するのであれば、その「正論」はどのような意味で「正しい」のだろうか? 
 その「正論」の「正しさ」は、今それを「正論」と呼ぶ人々にとっては、「現実」に基づいている。
 言い換えれば、そうした人々によれば、道徳的正
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