六時、現実、寝息/はるな
朝の六時に開けたカーテンを夜の六時に閉める。正しさを追って、(正しくないことばかりをおこないながら)、たどり着くのは圧倒的な現実だ。たとえば紅茶を淹れるまえにはポットおよびカップをあたためておくこと、ほこりは上から下へおとすこと、布を裁つときはきちんとアイロンをあててからにすること。
正しさは―それを真実と言ってしまうこともできるかもしれない―、いつでも大事なことだ。でも、現実―これを生活、と言えるだろうか―にひれ伏している。
愛は現実だろうか?
アイロン台の孤独や窓枠の恋は現実だ…剥げたマニキュア、萎びてゆく切り花、固く締められた瓶のふたと同じように。ひたいに細い毛をはりつけて
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