A sheep flies/猫の耳
 
泣いてばかりいたら、心が水分を失くして、カサカサに乾いてしまった。
冷たい風が吹いてきて、乾いた心を粉々に吹き飛ばしてしまった。

「寒いよ。胸がスース―するよ」

誰か助けてと、座り込み膝を抱え震えていたら、何かがゴンとぶつかってきた。
顔を上げると、まあるく太った羊がめえと鳴いて、身体を押し付けている。
「いつの間に?どこから来たの?」
「僕?さあ?」
羊は空を仰いだ。
「もしかして、本当に雲とか?」
「まあそんなもんですかね」
羊は首を傾げた。

私は冷えた心と身体を、羊に摺り寄せてみた。案外、ゴワゴワして肌触りが悪い。
「あんまり優しくないね」
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