A sheep flies/猫の耳
 

「現実なんてそんなもんですよ」
羊は大きな欠伸をして、空を仰ぎ呟いた。
「いい天気ですよ」
私も空を仰いだ。
突き抜けるような青い空、眩しい日差し、プカプカ浮かぶ白い雲。
「いい天気だね」
私がそう言うと、羊は笑った。羊って笑うんだ?
「きっといい事ありますよ」
「そうかな?」
「そういうもんですよ」

それから羊はもそもそと身体を動かし、
厚い毛皮をスルスルと脱ぐと、身体を振った。
「あーすっきりした」
私は目を丸くして驚いた。毛皮を脱いだ羊は何だか奇妙だ。
「寒くないの?」
「うーん若干」
それから羊はその毛皮を、私にポンと投げてよこした
[次のページ]
戻る   Point(3)