人生を消費しないために/葉leaf
 


 ただ生きるということは、人生を消費するということである。自ら人生を生きながら、それが過ぎていくのを受け身でしか眺めることができない。確かに記憶は残るかもしれないし、記憶に基づいた語りもなされるかもしれない。だが、記憶の語りには、自らの自意識による記憶の自動的な修正こそはあれ、そこに能動的な感受・思考・認識という批評的態度が欠けているのだ。文学の一つの意味は、過ぎ去っていく人生について、それを十分批評的に味わい、ただ消費するだけに済まさない点、つまり、人生を大事にして人生からより多くのものを引き出して行こうというという点にあるのではないだろうか。
 文学作品は書き手の生活の質に依存する。
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