小説における文体の問題/yamadahifumi
「文学者たる事の困難には依然として何も変わりはないが、文学志望者たる困難は全く無くなったと言っていい。」(小林秀雄 『言語の問題』)
ちょっと気になってたので調べたのだが、群像の新人賞の56回の応募数は小説が1851で、評論が153となっている。人は今、小説の方を評論より圧倒的に『簡単だ』と感じている事が、この数を見ていると、よく分かる。
でも、そうだろうか。僕は最近、その事を疑っている。まあ、散々、駄作以前のくだらないものを製造してきた僕が言う事でもないだろうが。…だが、現代において優れた作家は常に批評家的資質を持っていた。太宰治は極めて批評家的な作家である。『女の決闘』などは
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