天職/アンドリュウ
ブルーシートで囲まれた家はめったに人の来ない遊歩道の脇にあった
カチャカチャカチャという音に誘われて勇気を出して覗いてみた
老人が一人背を丸めて電卓を打っていた
ぶつぶつ何か呟きながら時折手を止めてノートに何か書き込んでいる
老人の耳にはイヤホンがはめてあつて携帯電話に繋がっている
そこまで見たところで老人に気付かれた
老人は臆した風もなく立ち上がると
おはいんなさい!と威厳のある声で言った
その声に敵意のない事もあってぼくは中に入った
勧められるままに座布団に腰を下ろすと老人は茶を煎れてくれた
いやいやながら口にしたぼくは次の瞬間あっ!と叫び声をあげた
そのお茶は
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