二人の遡行者?細川航「ビバーク」/春日線香
詩誌「雲雀料理」号外に掲載された細川航「ビバーク」について
僕のふたつのねがい、それはきみがいまこの瞬間か
らだの奥底から死にたくなること、そしてそのまま
に永遠くらい生きてほしいこと
ここには二つの方向が同居している。死への意識と、その死の意識が激しさを増したままで続くこと。つまり死の境界線を越える地点で立ち止まり、かろうじて生に留まることが願われている。二方向にぴんと張り詰めた葛藤の状態。「僕」が願い、「きみ」に向けられた言葉は、ある人間から別の人間に向けられたというよりは、一人の詩人の内部で交わされた独語と言ったほうが正しいだろう。
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雪という言葉がうす
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