キャンディと王様・前章/にゃんしー
これは、
千船女子高野球部エース・乙彼若菜と、
捕手兼キャプテン・神田川水樹と、
マネージャー・青井海が、まだ中学生だったころのお話。
乙彼がまだ「キャンディ」ではなく、
水樹がまだ「王様」ではなかった頃のお話。
○
「おーい、乙彼。早くしろや。どんだけ待たせんねん!」
水樹の苛立った声が、マンションの廊下に響き渡る。
「わーってるっ! あと30秒!」
部屋の中から、乙彼が返事をする。
「寝坊すんなよなーいつものことやけど」
「待ってるから大丈夫だよー」
海がのんびりした声を掛けると、急に静まりかえった部屋の奥から、
「痛っ! 足の小指打ったっつぅっ
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