啓典の記憶/2012
次元の狭間に巻き込まれるようにして、0と1の波間で揺れる「記憶」という名の島がありました。
島の中央には青白くそびえ立つ監視塔があります。
辺境にはひなびた村があり、そこにペルディーダという若い母とカノープという幼い娘が暮らしていました。
母娘の家は貧しく、ペルディーダは毎晩のように監視塔に働きに出ます。
ペルディーダが帰って来るのはいつもカノープが目覚める頃でした。
ペルディーダはカノープにいつもこういいつけました。
「夜に訪ねてくる人がいても、言うことを聞いて戸を開けてははだめ。恐ろしい悪魔に食べられてしまうから」
ペルディーダの留守中、雲一つなく月が輝く夜
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