僕の街とAKB/番田
公園へ向かう冬の夕暮れ。いつも思い出のようなものを胸に、通いなれた小さな繁華街を通り過ぎていく。美容院の人の顔を思い出しながら。角の果物屋にはもう、梨やスイカの姿はなかった。それは、りんごやみかんの姿に変わっていた。春になったら、どんな果物が並ぶのだろう。そんなことを考えていた。今日の風は冷たかった。死ぬときもきっと、こういった冷たさが全身を襲うことだろう。百円ショップの入り口のワゴンに載せてあるものを見た。そして門の前に出されている、服やガラクタを物色する。そこに、寒さに負けずに咲いている小さな花。そういえば今年は栗ご飯を食べなかった。ふいに前を歩いている下着のようなフリルをのぞかせている子を見
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