季節外れ/くみ
 
『秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる 』

確かこの歌を見かけたのはいつだっただろうか?確か高校生の時に古典の授業の時に副教材か何かに載ってたやつと思ったが、秋が来るという意味合いの歌じゃないかと俺はぼんやりと考えていた。

(8月過ぎてもまだまだ暑いな……)

夏の終わりの感触は、秋生まれなのに俺自身は結構気に入っている。
気温も湿度も高くダラダラと蒸し暑いのはうっとうしいけど、よく冷房の効いた室内から出た時にしか感じる事が出来ない、夏のあの一瞬だけ来るむわっとした様な薫りはそれなりに好きだった。
夕方にそれを感じると何故だか、田舎の祖母の家に居る様な錯覚に
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