水島英己「小さなものの眠り」を読んで 〜引用を生きる〜/中川達矢
 
 8月上旬に水島さん(と呼ばせていただきます…)から、新詩集の「小さなものの眠り」を送っていただいた。1ヶ月越しとなってしまったが、その感想を述べたい。

 まず、一読して感じたことは、私が飯島耕一を好んで読んでいることもあり、その飯島さんに詩のスタイルが似ているということだ。具体的に言えば、実在する作品からの引用があり、場所と人物に関する固有名詞の多用であり、そして、それらの場所や人物を実際に生きるということだ。それはどういうことか。この詩集に即して言うならば、島尾敏雄や新井豊美らの実在した人物を知識として語るのではなく、それらの人物と共に生きた時間を語り、また、彼らがかつていた場所を今にな
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