水島英己「小さなものの眠り」を読んで 〜引用を生きる〜/中川達矢
になって水島さんが生きるということだ。そのために、水島さんがとった行動は、それらの場所を歩くというごく簡単なことである。だが、歩くだけで詩が生まれるわけではない。彼らが生きていた過去の場所と水島さんが生きている(歩いている)現在の場所を結ぶことによって、詩が生まれる。この結ぶという行為が、この詩集の要であると言えるだろう。この「歩く」ということと「結ぶ」ということに主眼を置き、筆を先に進める。
詩集の中からいくつかフレーズを引用してみる。
水と水が出会うところ、というレイモンド・カーヴァーの詩を思い出す。
死と生は出会いと別れを繰り返し、そこに謎のような淀みをつくる。
「マン
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