蒸気機関車/済谷川蛍
 
 銀で出来た蒸気機関車が黄金の煤煙を噴きながらプラチナのレールを走ってくる。よく見ると煤煙は大量の金粉だ。噴射され空中へ舞い上がったあと、キラキラと輝きながら草原に降り積もる。煙突から噴き出る大量の金粉はまさしく炎のようだ。
 大小組み合わされた芸術的な車輪の群れが連結棒の複雑な動きによって回転する様は機能美の極致だった。牽引された貨車には石炭の代わりに大量のダイヤモンドの原石が山と積まれ次から次へと通り過ぎていく。
 一体何台の貨車が通り過ぎたのか。汗ばんだ子供たちの肌には降りかかった金粉が張り付いている。父親が息子を両脇で抱え、日焼けした少年は胸を反らして両腕を大きく広げた。
 人々は帽
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