踊り子/はるな
 

土砂降りの日に偶然出会った。(偶然以外の出会いがあるのかどうかはまた別にするとして)都会の昼間に雨が降ればにぎわう場所といえばコーヒーショップ。人まみれのこまごました座席を一瞥して隣にしましょうと言ったすらりとした言葉の美しさに、すでに恋をしていた。隣とはラブホテルで同じことを考えるひともいるものか空き部屋残り一室、すべりこむようにきっちり半額ずつで支払えば「高いコーヒー代になっちゃったわ」と笑う。

同じ傘をさしていただけ。柔らかだけれども色とりどりの色彩で描かれた踊る外国の少女、灰色の雨のなかではひどく目立ってしまうそれは間に合わせに駅の売店で選んだ、深緑だからという理由で選んだそれを
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