あしたのタケジョー/花形新次
その日茗荷谷博士は、
本屋「絶倫堂」店員のノリちゃんに
八幡宮に呼び出されました。
博士は、ノリちゃんに出会って以来、
毎日「絶倫堂」に肉まんを大量に抱えて通いつめ、ついに
ノリちゃんと付き合うようになったのです。
ですから、その日も博士は大はしゃぎで、一番のお洒落(かすりの着物に
カウボーイハットとビーサン)をして、急いで自宅から1分の八幡宮に駆けつけました。
ノリちゃんは、既に八幡宮の石段の前で、待っていました。
その姿は、ここが八幡宮ではなく、長谷の大仏ではないかと錯覚させるほど
堂々としたものでした。肩にハトの糞も落ちていましたし。
「ごめんね、待った?」
「いいえ
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