誰が豚かを決めるのは俺だ(2)/花形新次
 
 そりゃあ、ちょっとは責任感じてるわよ。
私が彼を振らなければ、彼だってこんなことにはならなかったんだし…。
でも、彼には悪いけど、私は彼について行くことができなかった。
 ええ、好きだったわよ。とても愛していたわ。でも彼は本当に私のことを
愛してくれていたのかしら。
 あの時、そう、彼が単身北朝鮮に乗り込んで、拉致被害者を救出しに行くって
言い出したとき、私が泣き叫びながら、そんな危険なことは止めて、とお願いしても、
まったく聞き入れてくれなかったのよ。
「俺は正義のためになら、この命を捧げる。」と言って。
 もし、本当に私を愛してくれているなら…。でも、私はその言葉を彼に言う
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