男になりきれない、女になりきれない、手紙。【井の頭公園】/西瓜すいか
少し寒いころだった気がする。
どこまでいこうか、
どこにいこうか、
どうやっていこうか、
そんな会話を繰り返していたか、
それとも私はもっと攻撃的に
レイプを、
性を、
相手の処女性(チェリーボーイっぷり)を、
話していたのか。
今となってはもう、すべてが褪色して、ぼやけている。
けれどひとつだけ、ひどく汗ばんだ手を覚えている。
大きな手がたとえようもなく汗ばんで、童貞君らしさ(ういういしさ)をかもしだしていた。
「ごめんね。手、汗ひどくて。昔から汗っかきで…」
「いいよ。そんなの。気にしないで。」
(かわいい。)と思ってい
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)