雪男/月乃 猫
街の灯も 音のない雪。
歩幅をかえることのない
繰り返しの日々に
息を潜め
あからさまな
白い息に
暖くもりをもとめる夜
夜の戸の音は控えめで、
永くなかった人が訪れる。
女は裸足で、
見覚えもなく、
―― 道に迷ったものです。一晩、泊めてもらえませんか。
―― いくら。
―― これでいかが。
昔話の 何かを思いやり
せまい 商店の街をはずれ
踏切の音のする三階へ
外階段を上るのは、
何かをきっと
間違っているというのに
言葉すくなに三本立てたその指の 手をひいた。
一夜
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