朝の雨への感謝/牛坂夏輝
朝の雨は
遊戯性を伴わない
ただ
一定の速度で
穏やかな神経を更新する
傘は思考の厳密な青春として開かれ
水滴は正確に軽やかな眩暈を実行する
憶測は白骨化した煙を濡らす
古いラテン語の哀歌のように
ガラスの裸体が
透明なスモモを川に流す
噴水の記憶を持つ青年が
スモモをかじり
「透明なドルフィン、透明なドルフィン」
と呟く
街路樹は喜ばず
しかし葉の裏に潜む鳥たちを
一段階だけ抽象的な映像へと修正する
その溶接された腕が最も雄弁に
灰色の凝視された
批評性を語る
鉄の腕が濡れる
太陽の下で裏返された宝石は
ほとんど説明された
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